【待ち侘びて】

 

ついに、今日が来ました。

わたしは、目覚ましが鳴る前に目を覚まし、部屋のカレンダーを確認しました。

11月のカレンダー、13日までに×印がついています。

確かに今日です。

わたしはベッドから出ると、仕度をして、朝食を摂りに部屋を出ました。

母がわたしに声をかけてきました。

「楓子、今年はパーティやらないの?」

「うん。」

「そう。珍しいわね。」

わたしは、引越しが多いので、こんな機会には大勢人を呼びます。

そこで、少しでもみんなと仲良くしたいと心がけています。でも今年は・・・。

わたしは朝食を済ませ、学校へと向かいました。

クラスの皆やクラブの皆とはもう仲良くなりました。

何人かからもお祝いを貰いました。

放課後、野球部に顔を出し、簡単にマネージャーの仕事を済ませました。

数日前、飯塚君からパーティの提案を受けました。

でも丁寧に断りました。今日は、少しでも早く家に帰りたかったから。

 

わたし、待っているものが有ります。

それが届くかどうかわからないけれど、今の気持ちを忘れたくないから、

手紙を認めています。

 

「あなたへ

 

最後に逢ったのは、修学旅行でした。

あなたのお友達の、坂城君に手配してもらって、久しぶりにあなたの顔が見られました。

 

そうそう、あの時の事を謝ります。

あの花火を見た直後、わたしはあなたにお別れを告げようと思っていました。

でもどうしても言い出せずに、私は呆気にとられたあなたを残して

あの場を去りました。ゴメンナサイ。

 

新学期が始まってしばらくしてから、あなたから電話が来ました。

とっても、ううん、言葉では言い表せないくらい、嬉しかった。

その後も、お休みの度に電話をくれてありがとう。

嬉しくて、いつも、つい長話になっちゃって。

あなたとわたしをつなぐものは、今は電話しかないから。

 

野球部で今もあなたは頑張っていますか?

わたし、こちらの高校でも野球部のマネージャーになりました。

大門高校はとても強いです。

もしかしたら、大会で、ひびきの高校と試合することになるかもしれない。

その時は、どちらを応援するか、悩んでしまうかも知れない。

でも、あなたの事だけは、絶対に応援するからね。

 

わたし、こっちでも頑張ります。引越しには慣れてるから。

でも、今度の引越しくらい、辛いことは今までありませんでした。

本当に。

 

ピンポーン。

「佐倉さーん。お届け物でーす。」

「はーい。」

 

待っていたものが届きました。

この書きかけの手紙は出さずに、あなたに直接逢いに行きます。

逢いに行っても良いよね?

「バースデープレゼントありがとう」って言いに行っても。