パンパーン!!!

 

虹野「ハッピーバースデー、みのりちゃん」

一同「おめでとう!!!」

 

今日は、私の誕生日。

去年と同じように、虹野先輩をはじめ、サッカー部の皆が、私の誕生日を祝ってくれたんです。

 

「おい、秋穂。これ、俺からのプレゼント。」

 

今、私に話し掛けてきたのは、同級生の沢渡君。

一応、サッカー部のエースストライカーです。

 

「ありがとう、沢渡君。」

 

私は、そうそうに彼の傍から離れようとして・・・

 

「それだけかよ。もっとこう嬉しそうにさあ・・・」

と、妨げられました。

 

「あら、もちろん。とっても嬉しいわよ。サッカー部のエース様からのプレゼントですからね。」

 

「その言い方、ちょっとギスギスしてないか?」

 

「そんな事無いわよ。そう思うのは、沢渡君が変な期待を持っているからじゃないの?」

 

「変な期待って何だよ?」

 

「別に。それよりも、私はね、沢渡君。

 一番に虹野先輩に祝って欲しいんだから、邪魔しないでくれない!」

 

「そんな言い方って無いだろ、秋穂。俺だって、心を込めてだな・・・」

 

「ああ、もう分かったわよ。本当にありがとう。これでいいでしょ?」

 

「あのなぁ・・・」

 

尚もぶつぶつ言う、沢渡君をそのままほうっておいて、

私は、虹野先輩とその彼である先輩のところへと・・・

 

「虹野先輩。今年も、私なんかの為に、バースデーパーティを催して頂いてありがとうございます。」

 

「当然だよ、みのりちゃん。いつも、サッカー部のマネージャーとして頑張ってくれてるし、

何より、みのりちゃんの事、みんな大好きなんだから。」

 

「俺だって、みのりちゃんには世話になってるしね。

 幹事補佐としては、至らないかも知れないけど、パーティ、楽しんでくれよ。」

 

「先輩。幹事の虹野先輩はともかくとして、幹事補佐だったら、

 芸かなんかして盛り上げてくださいよ。ね?」

 

「芸?勘弁してくれよ。俺、そういうの苦手なんだから。」

 

そんな事は充分知ってますよ、先輩。でも、このまま虹野先輩の隣でずっと居させたくなくて・・・

少なくても、私のパーティの間・・・、そう考えながら、私は次の行動に出たんです。

 

「みんな聞いてー。」

 

今までざわついていた会場が、シンと静まり返って・・・

パーティの主役である私の声に、皆が振り返りました。私はおどけて、みんなに告げたんです。

 

「先輩が、今からとっておきの芸を見せてくれるって!はい、皆、注目〜!!」

 

「おいおい、みのりちゃん。」

 

一同「おーし、やれ、やれ。」

 

私のところへ集まっていた皆の目は、先輩の方へと移り、野次が飛びました。

幸せな先輩への意地悪、でも私の誕生日くらいは、こんなこともあっていいって・・・

 

「ちょっと待ってくれよ、おい。」

 

先輩は、さすがにしり込みし、冷や汗を流して・・・。

 

すると、みかねて虹野先輩が

「みんな〜!彼の芸より、もっと素敵なものを用意してるの。披露してもいいかな?」

 

注目が今度は虹野先輩へと、そして間髪をいれず、皆の注目をある一点へと促し

「今日は特別に、彩のメンバーに来て貰ったの。2曲ほど歌ってもらいます。」

 

挨拶もなしに、演奏が始まりました。

私は、昨年の文化祭を思い出して、あの時自分が歌った歌、そして込めた想いを。

そして、彩の先輩のことを。

あっというまに、ミニミニライブは終了し、余韻に浸っているうちにパーティは終わっていました。

 

「みのりちゃん、じゃまた明日ね。」

 

「はい、虹野先輩。今日は、本当にありがとうございました。また明日。」

 

虹野先輩ともお別れし、私は一人で家へと・・・

嬉しい事のあった後って、一人になった途端、寂しくなるって本当なんだなと思って歩いていました。

 

「みのりちゃん。」

 

そんな時、前方の公園の入り口前に立っている人から、声がかかりました。

 

「え、どうしたんですか、先輩?」

 

この人は、最近私が良く相談を持ちかける先輩なんですが、学校外で話し掛けられたのは

初めてでした。

 

「いや、その。忘れてたんだけど、今日、誕生日だったろ。今日中に渡したくてさ、これ。」

 

そう差し出された手には、リボンのついた小さな包みが載っていました。

意外な感じがしました。私の知っているこの先輩って、決して自分から動くような人じゃないのに、

プレゼントを渡すようなタイプじゃないのに・・・

 

私が呆然としていると、いづらくなったのか

「それじゃ、みのりちゃん。また何かあったら、相談でもなんでも、話を聞くから。」

と慌てて立ち去って行きました。

 

その慌てぶりに、先ほどまでの寂しさは嘘のように消えて、

何だか笑いが止まらなくなっちゃたんです。

 

結局また、あの先輩に元気を貰っちゃったみたいです。

いつもありがとう、助けてくれて。

でも、プレゼントのセンスはまだまだって思いますよ。

センスは私が助けてあげますね、先輩。

女の子の誕生日プレゼントに、お団子はまずいよ、ほんとに(笑)