【想いを伝えたいから】

 

伝えたい事は、たくさん有るよ。

でも、すべてを伝えるなんて出来ないよ。

あなたへの想いだから・・・

 

○○○

 

虹野「えーと、これをこうして、それから、これとこれを・・・」

秋穂「あれ、何してるんですか、虹野先輩?」

虹野「わぁ!びっくりさせないでよ、みのりちゃん。」

秋穂「って、わたしの方がびっくりしましたよ。

   それで一体何してるんですか?」

虹野「えっ、えーと、あははははははははっ。」

秋穂「ごまかそうとしてますね?」

虹野「もう、誰にも気付かれないようにしてたんだけどなあ。」

秋穂「はい?周りの視線に気付いてなかったんですか?

   思いっきり目立ってましたけど・・・」

虹野「・・・。と、取敢えず部室へ行こうか、みのりちゃん。」

 

○○○

 

明日は、あの人の・・・。だから、内緒で準備してたんだけどなあ。

みのりちゃん、最近勘がいいからなあ。

 

○○○

 

虹野「ふう、秋になったと言っても、まだ日中は暑いねえ。

   しかし、今年の夏の総体は、本当に惜しかったよねえ。

   岐阜県で行われたんだけど、わたし初めて行ったんだ。

   どうせなら、高山とか寄って来たかったよねえ。

   ねえ、みのりちゃん。」

秋穂「・・・。」

虹野「あの、みのりちゃん?」

秋穂「必死に話題をそらそうとしてますね?」

虹野「うっ・・・。」

秋穂「まあ、何をしてたかなんて、予想はつきますが・・・」

虹野「も、もういいじゃない。きっと予想通りなんだから、ね?」

秋穂「ふうぅぅぅ、判りました。黙ってる代わりに、何か奢って下さいね。」

虹野「あんまり資金に余裕が無いんだけどなあ・・・」

秋穂「この間までコンビニでバイトしてたお金、

   もしかしてそれにつぎ込んじゃったんですか?

   幸せ者過ぎますね、先輩は。」

虹野「別にそれだけって訳じゃないのよ、みのりちゃん。

   だから、来週には何か奢るから、この話はここまでにしよ、ね。」

秋穂「そうですね、先輩も来ちゃったし。」

虹野「え?あ、ほんとだ。じゃ、内緒だよ、みのりちゃん。」

 

  「何が内緒なんだ、沙希ちゃん?」

 

虹野「何でもない、何でもない。ね、みのりちゃん。」

秋穂「そう、何でもありませんよ。何でも。」

 

  「・・・。まあ、いいか。

   ところで、沙希ちゃん、一緒に帰らない?」

 

秋穂「虹野先輩、お邪魔虫は、消えますから。

   じゃあ、失礼します。」

 

  「?。今日は、ずいぶんあっさりだなあ、みのりちゃん。」

 

虹野「そうかな、あははははははははっ。」

 

○○○

 

秋穂(さーて、明日の本番は、思いっきり邪魔しようっと。)

 

○○○

 

虹野「ねえ、手をつないでもいいかな?」

 

  「え?もちろん、いいけど。どうかした?」

 

虹野「ううん。何でもない。」

 

○○○

 

あなたに渡すプレゼント、今は鞄の中。明日までに間に合わせないとね。

きっと、わたしの想いは伝わるよね。

 

でも今は、この手のひらからだけで、充分伝わってるよね。

これからも、ずっとずっといつでも手をつなげる距離にいたいな。

あなたへの想いを伝えるために・・・