長瀬「・・・よし、これで完了だ。マルチ、お疲れさん。」

マルチ「ありがとうございました〜♪」

長瀬「それにしても、マルチのご主人も物好きだね。」

羽月「物好きで悪かったな・・・。」

マルチ「あっ、浩之さん♪」

長瀬「ずいぶん早かったね。予定の時間までまだ30分はあったはずだが・・・。」

羽月「マルチに妙な事吹き込んでないか心配になってな。」

長瀬「相変わらず手厳しいねぇ。(^^;;」

羽月「それに、これはマルチがせがんだものだからな。」

長瀬「ほう・・・。」

羽月「で、おっさん。もう出来たのか?」

長瀬「ああ、もう取り付け作業は完了してるよ。
   ただ・・・マルチにこんな機能を付けてもあまり意味がないと思うのだが・・・。」

羽月「趣味で乙女回路を作るおっさんに、そんなことを言われる覚えはない。」

長瀬「乙女回路・・・。(^^;;」

羽月「そんなことより、新しい機能の使い方を、マルチに教えてやってくれ。」

長瀬「あ、ああ。準備はいいかい、マルチ。」

マルチ「よろしくお願いしま〜す♪」

 

 

LITTLEWING14万アクセス記念 〜EternalHeart 前編〜

 

 

羽月「それにしても・・・おっさんの言う通り、マルチには意味のない機能だと思うんだが。」

マルチ「そんなことないですよ。私だって、皆さんのお役に立ちたいんです♪」

羽月「私だって?」

マルチ「い、いえ。何でもありません。(^^;;」

羽月「・・・何があったかは知らないが、マルチは十分役に立ってるからな。」

なでなで・・・。

マルチ「は、はい・・・。(*^^*)」

沙希「あっ、羽月君、マルチちゃん。」

羽月「おお、沙希ちゃん。」

マルチ「沙希さん、こんにちはです♪」

沙希「こんにちは、マルチちゃん。(^^)」

羽月「こんな所で会うなんて、珍しいな。」

沙希「うん・・・ちょっとね・・・。」

羽月「ん?」

みのり「虹野せんぱ〜い・・・。」

沙希「あっ、みのりちゃん。こっちはダメ。そっちは?」

みのり「私の方もダメでした・・・。あれ?羽月先輩?」

羽月「どうやら・・・みのりちゃんが抱えている犬が関係してるみたいだな。」

マルチ「犬さんですぅ♪」

沙希「うん・・・学校の帰りにみのりちゃんが拾ったんだけど、私もみのりちゃんも家では飼えなくて・・・。」

みのり「それで飼ってくれる人を探しているんですが、それもなかなか見つからなくて・・・。」

羽月「みのりちゃんも、飼えないのがわかってて拾ってくることないだろうに。」

みのり「っ、それじゃあ先輩は、見捨てれば良かったって言うんですかっ?!」

羽月「・・・・・・。」

沙希「・・・羽月君?」

羽月「ん?ああ。ともかく、拾ってきてしまったものは仕方ない。俺も飼ってくれる人を探すの手伝うよ。」

マルチ「私もお手伝いします♪」

みのり「あ、ありがとうございます・・・。」

沙希「それじゃあ、私と羽月君はこっちを探すから、
   みのりちゃんとマルチちゃんはあっちを探してくれるかな?」

みのり「私は虹野先輩と一緒に行きたいんですけど・・・。」

沙希「それだと、さっき私達が訪ねた所を羽月君達がまたまわっちゃうでしょ?」

みのり「あ、そっか。それじゃあ仕方ありませんね。マルチ、行くわよ。」

マルチ「はわわっ、ま、待ってください〜。」

・・・

沙希「さて・・・と、聞かせてくれる?」

羽月「何を?」

沙希「どうして、犬を拾ってこなければいいなんて言ったの?
   いつもの羽月君は、絶対にそんな事言ったりしないよ。」

羽月「・・・昔、俺も飼ってたんだ、犬。だけど死んじまった、それだけだよ。」

沙希「・・・羽月君。」

羽月「・・・はぁ、わかったよ。全く・・・沙希ちゃんには敵わないな。」

沙希「ふふっ。(^^)」

羽月「俺の・・・不注意だったんだ。」

沙希「不注意?」

羽月「あいつと遊んでいるのに夢中で、道路に飛び出したのにも気づかなかったんだ。
   そこをトラックが走ってきて・・・。」

沙希「その犬が・・・かばってくれたの?」

羽月「ああ・・・。それで、その時思ったんだ。
   ”こんな悲しい思いをするなら、二度と動物は飼わない”ってな。」

沙希「そうだったの・・・ごめんなさい、悲しいことを思い出させてしまって。」

羽月「いいって、いいって。それよりも、早く飼い主を見つけてやろうぜ。」

沙希「う、うん・・・。」

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

 

マルチ「みのりさん。」

みのり「ん?なぁに?」

マルチ「あ、あの、さっきのことなんですけど・・・。」

みのり「さっき?何のこと?」

マルチ「浩之さんが、”飼えないなら拾わなきゃいいのに”って言ったのに対して、
    みのりさんが凄く怒ったことです。」

みのり「・・・それがどうかした?」

マルチ「どうしてあんなに怒ったんですか?」

みのり「どうしてって・・・」

 

みのり、その子犬・・・どうしたの?

あのね、公園に段ボール箱が置いてあってね、その中にいたの。(^^)

・・・元の場所に戻してきなさい。

どうして?私、この犬さんを飼いたいの。

駄目よ。家では動物を飼うことは出来ないの。

なんで?ねぇ、なんでぇ?!

いいから、戻してきなさい!!

う・・・うえぇぇ〜〜〜ん!!

みのり・・・あまりお母さんを困らせないでちょうだい・・・。

 

みのり「・・・マルチにはわからないわよ。」

マルチ「そんなことないですよ。私だって努力すれば・・・」

みのり「わかるわけないわよ、ロボットのあなたには・・・。」

マルチ「みのりさん・・・。」

みのり「とにかく、絶対に飼い主を見つけなきゃいけないの!行くわよ、マルチ!」

マルチ「は、はい!」

マルチ(やはり私では、お役に立てないのでしょうか・・・。)

 

(それから数刻後・・・)

マルチ「はう〜、見つかりませんでした〜。」

沙希「こっちも残念ながら・・・。」

羽月「まあ、血統書付きとかならともかく、雑種の子犬じゃあな・・・。」

みのり「・・・・・・。」

マルチ「犬さん・・・どうなっちゃうんでしょうか?」

みのり「・・・私の家に連れて行きます。」

羽月「でも、飼えないんじゃなかったのか?」

みのり「一晩くらい、なんとかなります。それに・・・。」

沙希「それに?」

みのり「・・・。」

羽月「どうした?みのりちゃん。」

みのり「あっ、何でもないです。気にしないでください。それじゃあ私はこれで失礼しますので。」

沙希「みのりちゃん、また明日一緒に探そう、ね?」

みのり「虹野先輩・・・ありがとうございます。それじゃあ、失礼します。」

・・・

マルチ「犬さんのおうち、みつかるといいですね・・・。」

羽月「・・・そうだな。」

 

しかし、そんなみんなの願いとは裏腹に、次の日も飼い主は一向に見つからなかった・・・。

 

沙希「なかなか見つからないね・・・。」

羽月「この辺で、まだ回ってない所は?」

マルチ「はぅ〜、もうありませ〜ん。」

みのり「こうなったら、隣町まで行ってでも・・・。」

マルチ「あ、あの、浩之さん・・・。」

羽月「ん?何だ、マルチ。」

マルチ「ウチに連れてきちゃダメなんですか?」

羽月「・・・どうしてそんな事を聞く?」

マルチ「昨日物置で、犬さんのおうちを見つけたんです。」

みのり「それ、本当?!」

マルチ「はい♪あれならこの犬さんも・・・ 羽月「余計なことをするな!!!」

マルチ「はうっ!す、すいません・・・。」

みのり「ちょっと、どこが余計なことなんですか?!先輩は、そんなに犬が嫌いなんですか?!」

羽月「嫌いじゃないから・・・二度とあんな思いはしたくないんだよ。」

沙希「羽月君・・・。」

マルチ「浩之さん・・・」

みのり「そんなの・・・。」

 

ゴメンね、ゴメンね、私のせいで・・・。

 

みのり「そんなの私にはわかりません!!」

タッ!

沙希「みのりちゃん、待って!」

・・・

マルチ「浩之さん・・・犬さんを嫌いじゃないんですよね?」

羽月「・・・ああ。」

マルチ「じゃあ、どうして飼ってあげないんですか?」

羽月「・・・情が移ったら、別れの時に悲しい思いをするからだよ。」

マルチ「悲しい思いですか・・・。」

羽月「ああ・・・。」

マルチ「それじゃあ、私とは別れても悲しくないってことでしょうか?」

羽月「マルチ・・・。」

マルチ「ロボットの私なんか、いなくなっても構わないってことでしょうか?」

羽月「マルチ、それは逆だよ。」

マルチ「逆?」

羽月「動物は、大抵人よりも早く死んじまうんだよ。
   だから、飼い主は決まって悲しい思いをする・・・。
   でも、マルチはメイドロボだから、そんな心配はないだろ?」

マルチ「は、はい。壊れたりしない限りは・・・。」

羽月「だから、マルチとはずっと一緒にいられる。悲しい思いもすることはない。
    それじゃあ不満か?」

マルチ「ずっと一緒・・・ですか?」

羽月「ああ、約束する。」

マルチ「約束・・・はい!約束です♪」

羽月「それじゃあ話もまとまったところで、そろそろみのりちゃん達を追いかけたいんだが・・・。(^^;;」

マルチ「す、すいませ〜ん!私のせいで〜。」

羽月「それはもういいから、2人を捜すぞ。」

マルチ「は、はい!」

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

 

みのり「も〜、羽月先輩のバカ!!」

犬「クゥ〜ン。」

みのり「あ、ゴメンね。あなたのことを怒ったわけじゃないのよ。」

犬「ワン!」

みのり「わかってくれたみたいね。(^^)
   でも・・・羽月先輩の家がダメとなると、やっぱり隣町まで行くしかないかなぁ・・・。」

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

 

マルチ「あっ、浩之さん!沙希さんがいました!」

羽月「お〜い!沙希ちゃ〜ん!」

沙希「あ、羽月君、マルチちゃん。」

羽月「みのりちゃんは見つかった?」

沙希「ううん。まだ・・・。」

羽月「そんなに遠くには行ってないはずだから、この辺をくまなく捜してみよう!」

沙希「そうね。マルチちゃんもお願いね。」

マルチ「が、頑張ります!」

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

 

みのり「さてと・・・そろそろあなたの飼い主になってくれそうな人を捜しに行かないとね。」

沙希「みのりちゃ〜ん・・・」

みのり「あ・・・虹野先輩の声・・・。」

犬「ワン!」

みのり「あ、こら!勝手に走って行っちゃダメだってば!」

 

その時、みのりちゃんは犬を追いかけることに夢中で、
道路に飛び出している事に全く気づいていなかった・・・。

 

羽月「ん?あそこで犬を追いかけてるの・・・みのりちゃんじゃないか?」

マルチ「はわわ〜、あっちからトラックが走ってきます〜!」

羽月「みのりちゃん、犬に夢中でトラックに気づいてないぞ!!」

沙希「みのりちゃん、危ない!!」

みのり「え?」

キキィィィィィィ〜〜〜〜!!!!!

 

耳障りなブレーキ音が辺り一帯に響き、そして・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは・・・幸せなひとときに終わりを告げる音だった。

  

To be continued・・・