KENZO「紐緒さん?俺、KENZOだけど!」
結奈「そんなに大声出さなくても聞こえてるわよ。」
KENZO「那波が、那波が・・・。」
結奈「倒れたのね?」
KENZO「あ、ああ・・・。」
結奈「那波を置いて、他の女と遊んでた。違う?」
KENZO「誤解を招きそうな言い方だけど・・・確かにその通りだ。でもどうして?」
結奈「どうしてわかるのかって?簡単よ。あなたの行動そのものが、那波が倒れた原因なのだから。」
KENZO「俺が・・・原因?」
結奈「考えてご覧なさい。那波はもともと存在しない娘なのよ。
そんな彼女が、この世界に存在を維持しつづけるためには、それなりの理由がいるわ。」
KENZO「存在するための・・・理由。」
結奈「”あなたに必要とされること”。それがこの娘の存在理由よ。
あなたは、軽い気持ちで”自分を慕ってくれる娘”を望んだのかも知れない。
でも、那波にとってはあなたがすべてなのよ。
そんな那波の気持ちを踏みにじり、あなたは那波よりも他の娘を必要とした。」
KENZO「そんなこと!」
結奈「那波はそう思ったのよ。その結果が・・・これよ。」
KENZO「それで・・・那波を助ける方法は・・・」
結奈「あなたが那波の側にいること。それが一番の薬よ。」
KENZO「・・・それだけでいいのか?」
結奈「ただし、こんなことが何度も続けば、いずれ那波は存在を維持できなくなる。」
KENZO「・・・だったら、ずっと那波の側にいればいいんだろ?」
結奈「あなた・・・自分が何を言ってるのかわかってる?」
KENZO「何って・・・。」
結奈「ずっと那波の側にいるということは、他の娘とは親しくできないということよ。」
KENZO「・・・わかってる。」
結奈「そう・・・。」
プッ・・・ツーツーツー・・・
結奈「電話線が切断された?・・・羽月の仕業ね。まあいいわ。
良い機会だから色々とデータを取らせてもらいましょうか。」
KENZO「もう・・・・・・沙希ちゃんとは一緒にいられないんだ。」
沙希「それってどういうこと?私には・・・わからないよ。」
KENZO「・・・ホントにごめん。」
沙希「ごめんじゃわからないよ!!」
那波「沙希さん・・・。」
沙希「・・・取り乱しちゃってごめんね。ホントはわかってるんだ。私・・・嫌われちゃったんだよね?」
KENZO「・・・。」
沙希「気がつけば、いつでもKENZO君の側にいたけど・・・それも、本当は迷惑だったんだよね?」
KENZO「・・・っ。」
沙希「ごめんね。私鈍いから、全然気がつかなくって・・・
KENZO「違・・・
そのとき、無人の自動車が坂を下って3人に向かってきた。
男「危ない!逃げろ!!」
沙希&那波「え?」
沙希ちゃんと那波からは死角となっているから、車を確認してから逃げたのでは間に合わない!
俺は、必死で2人に飛びついた!
KENZO「沙希ちゃんっ!!!」
那波(!)
・・・
男「お、おいっ、大丈夫か?!」
沙希「う、う〜ん・・・。」
男「と、とりあえず、救急車を呼ぶから、そこでジッとしてるんだぞ!」
男(でも・・・確かにサイドブレーキをかけておいたはずなんだが・・・。)
沙希「?KENZO君、那波さん、しっかりして!」
那波「KENZOさん・・・。」
沙希「那波さん?気が付いたのね。」
那波「那波は・・・ずっとお待ちしています・・・。」
沙希「那波さん?那波さん?!」
・
・
・
RRRRRR!
みのり「あや〜、恋〜、電話よ〜!」
あや「は〜い。もしもし?あ、沙希さん。え・・・事故?!」
みのり「事故?!って、虹野先輩は大丈夫なんですか?!」
恋「アイツは?!」
あや「うん・・・。わかった。それじゃあ。」
恋「あや!」
みのり「事故って・・・誰が?」
あや「お兄ちゃんと沙希さん、那波さんの3人。
サイドブレーキをかけ忘れていた車が突っ込んできたんだって。」
恋「それで、誰か怪我したの?」
あや「お兄ちゃんが、とっさに2人をはねのけたおかげで大丈夫だったみたいだけど、
那波さんとお兄ちゃんは今も気を失ってるんだって。」
恋「病院に行ってくる!!」
あや「あ、恋ちゃん!・・・行っちゃった。」
みのり「あやは行かなくていいの?」
あや「お兄ちゃんは、このくらいでどうにかなったりはしないから。(^^)」
みのり「信じてるってわけか・・・まあ、KENZO先輩のことだから、あっという間に回復しそうだけど。」
あや「ふふっ、そうだね。」
・
・
・
KENZO「ただいま〜。」
みのり「ただいま〜ってKENZO先輩、病院にいたんじゃないんですか?!」
KENZO「ん?ああ、大したことなかったから帰ってきたんだ。」
みのり「虹野先輩と那波さんは?」
KENZO「え〜と、2人はまだ病院に・・・」
KENZO「な、何するんだよ、いきなり?!」
みのり「虹野先輩はともかく、那波さんはまだ意識がないんじゃないんですか?!
それを置いて帰ってくるなんて、いつものKENZO先輩なら絶対しません!!」
KENZO「いつものって・・・そんなこと知るかよ!俺は俺だ!!っ・・・。」
みのり「・・・回復しない?あなた、本当にKENZO先輩?」
KENZO「な、何を馬鹿げたことを。そんなの決まってるじゃないか。」
あや「みのりちゃん、誰かお客さん?」
KENZO「ああ、あや!いいところに。みのりちゃんがおかしなことを言うんだ。何とかしてくれよ。」
あや「・・・・・・誰?」
KENZO「あやまでそんなことを・・・。お前のお兄ちゃんじゃないか。(^^;;」
あや「お兄ちゃんは、そんな狡猾そうな表情は絶対にしないもん。」
KENZO「狡猾ってなぁ・・・。(^^;;」
みのり「KENZO先輩、ひとつ質問があるんですけど。」
KENZO「それで本物かどうか試そうってのか?いいだろう、何でも聴いてくれ。」
みのり「KENZO先輩が一番好きな人は誰ですか?」
KENZO「そんなの、沙希ちゃんに決まってるじゃないか。」
みのり&あや「異議あり!!」
KENZO「何でだよ?!(^^;;」
みのり「実際の所は私にもわかりませんが、少なくともKENZO先輩が断言することは絶対にあり得ません。」
あや「絶対に、何人かの女の子の名前が出てくるはずよ。」
KENZO「そんなくだらないことで、偽物と決めつけられてたまるかよ!!」
結奈「いい加減諦めなさい。」
KENZO「そ、その声は・・・ひ、紐緒さん?!(^^;;」
結奈「あなたの正体はもうばれているのよ、羽月。」
KENZO「羽月?・・・あの時のあいつか?」
羽月「KENZO?!貴様、車にはねられたんじゃなかったのか?」
KENZO「直った。」
羽月「直るかぁ!!(^^;;」
沙希「確かに、普通は直らないよね・・・。(^^;;」
みのり「あ、虹野先輩?!ど、どうなってるんですか?!」
恋「紐緒さんが、実験用にコイツに似せて作ったんだって。」
あや「でも、その・・・羽月さん?が、どうしてこんなところに?」
結奈「以前、那波が倒れたとKENZO君が電話してきたときに脱走したのよ。」
KENZO「もしかして、電話が急に切れたのもそのことと関係が?」
結奈「ええ。羽月の仕業よ。外部に連絡出来ないようにしておいて、私を殺すつもりだったんでしょうね。」
沙希「でも、紐緒さんが今無事だってことは・・・。」
結奈「支配者に逆らったらどうなるか、世界征服ロボでたっぷりと教えてあげたわ。」
沙希&みのり「・・・。(^^;;」
恋&あや「・・・世界征服ロボ?(^^;;」
KENZO「羽月・・・あんたも辛い思いしたんだなぁ。(^^;;」
結奈「いいの?そんな同情して。羽月はあなたも殺そうとしたのよ?」
沙希「もしかして・・・車に細工を?」
結奈「そう。坂の上に停めてあった車のブレーキを、羽月が壊したのよ。」
恋「どうしてそんなことを・・・。」
あや「入れ替わろうとしたんじゃないかな、お兄ちゃんと・・・。」
羽月「その通りさ。俺はもう、あんたのモルモットとして生きるのは嫌なんだ!!
お前達だって、こんな優柔不断な奴が兄では嫌だろう?」
あや「ごめんなさい。私のお兄ちゃんは他にはいないから・・・。」
恋「悪いけど、アンタなんか願い下げだわ。」
羽月「なぜだっ?!こんな浮気者に俺が劣っているとでもいうのか?!!」
KENZO「えらい言われようだな・・・。(^^;;」
あや「・・・優しくない。」
恋「耐久力がない。」
羽月「・・・。」
結奈「・・・理由はどうあれ、これであなたの野望は失敗に終わったわ。」
羽月「俺は・・・俺は・・・。」
結奈「大人しく、私のモルモットに戻りなさい。」
羽月「それだけは・・・それだけはいやだぁ〜!!!」
沙希「消えた?!」
みのり「瞬間移動まで出来るんですか?あの偽物は!」
結奈「違うわ。本当に消えたのよ。この世からね。」
あや「死んだ・・・ってこと?」
結奈「そう取ってもらっても構わないわ。」
恋「でも・・・なんで?」
KENZO「悪い。とりあえず中に入らないか?玄関で立ち話っていうのも何だし、
何より、背負ってる那波をベッドに連れて行ってやりたいから・・・。」
沙希「・・・。」
みのり「そういえば、どうして那波さんを病院から連れてきたんですか?」
KENZO「・・・それも後で話す。」
・
・
・
恋「まずは羽月が消えた理由を聞かせてもらえるかしら?」
結奈「存在する目的を失ったからよ。」
沙希「それだけのことで・・・。」
結奈「それだけのこと?羽月達は、元々この世界には存在しないはずなのよ。
その存在を維持するためには、存在するだけの目的が必要なのよ。」
みのり「偽物の存在する目的は、KENZO先輩と入れ替わることだったってことですか?」
結奈「最初は、私のモルモットとなることを目的に設定したのだけれど、
どうやら自らそれを書き換えたようね。」
KENZO「モルモットに戻るよりも、自らの消滅を選んだのか・・・。なんか不憫だな。」
あや「・・・紐緒さん、ひとつ聞きたいんですけど。」
結奈「何かしら?」
あや「那波さんの存在目的は、お兄ちゃんと一緒にいることなんですか?」
沙希&みのり&恋「?!!」
恋「そ、それってつまり・・・。」
みのり「那波さんも・・・紐緒さんが作った?」
結奈「その通りよ。」
沙希「どうしてそんなことを?!」
KENZO「まさか、こんなことになるなんて思ってなかったんだよ・・・。」
結奈「あら、私はわかっていたわよ。あなたに那波を作るように頼まれた時、面白そうと言ったはず。
あれは、那波の存在によってあなたがどういう行動に出るのか興味があるという意味だったのよ。」
みのり「じゃあ、那波さんを病院から連れてきたのは・・・。」
結奈「那波は人ではないのよ。病院で直ると思う?」
あや「じゃあ、那波さんはこのまま・・・。」
結奈「存在理由を失ったのであれば、羽月と同じ道を辿ることになるでしょうね。」
KENZO「そんな・・・。悪いのは俺じゃないか。なんで那波がそんな目に・・・。」
沙希「・・・。」
あや「お兄ちゃん・・・。」
沙希「・・・KENZO君。実は事故の時、那波さんが・・・。」
KENZO「那波が?どうかしたのか?!」
沙希「”ずっとお待ちしています”って・・・。」
KENZO「・・・そうか。」
恋「待ってるっていったって、当のご本人がこれじゃあどうにもならないじゃないの。」
結奈「・・・決心したの?」
KENZO「ああ。」
結奈「そう。」
みのり「決心したって・・・まだ何かあるんですか?!」
KENZO「何もないさ。何も・・・。」
みのり「嘘!!」
沙希「ごめん・・・私、そろそろ帰るね。」
KENZO「・・・ああ。」
みのり「えっ、帰るって虹野先輩?!待って下さいよ〜!!」
・・・
KENZO「沙希ちゃん・・・本当にごめん。」
結奈「良かったの?これで。」
KENZO「紐緒さんにも迷惑かけたな。」
結奈「気にする必要はないわ。おかげで良いデータが取れたのだから。」
KENZO「そっか。」
結奈「じゃあ、私もそろそろ帰るわ。・・・さようなら。」
・・・
あや「お兄ちゃん・・・大丈夫?」
KENZO「何が?」
あや「何がって・・・事故にもあったし、沙希さんや那波さんのことも・・・。」
KENZO「大丈夫だよ。俺の回復力の凄さはよく知ってるだろ?」
恋「馬鹿!!身体の回復は確かに早いけど、心はそうじゃないでしょ!」
KENZO「・・・。」
恋「心にだって、立ち上がれないくらいの怪我はあるんだから・・・。」
KENZO「・・・ありがとう、二人とも心配してくれて。でも、本当に大丈夫だから二人とももう寝なさい。」
恋「・・・アンタはどうするのよ?」
KENZO「那波の側にいる・・・って言いたいところだけど、二人に心配させたくないから、今日は寝る。」
あや「・・・本当に?」
KENZO「ああ。じゃあ、二人ともおやすみ。(^^)」
あや&恋「・・・おやすみ。」
みのりちゃんと恋ちゃんも気づいていたみたいだけど、まだお兄ちゃんは何か隠してる。私もそう思った。
でも、今はそのことに触れるべきじゃないと思ったから、この時は大人しく従ったの。
翌日に、お兄ちゃんが目を覚まさないことになるなんて思わなかったから・・・。